会社の近くに転居したら

 「終電」という概念がなくなりました。
 彼氏くんが、とめどなく残業するようになってしまいました。
 次第に帰宅する時間が遅くなり、一昨日は私が布団に入る頃になっても帰ってきませんでした。居間でうたたねしてると風邪ひくかもしれないので、遠慮なくベッドで爆睡してました。朝になったら横にいたのでちょっとびっくりしました。
 昨日はとうとう、帰ってきませんでした(落涙。「帰ってこないなぁ」と思いながらベッドに入り爆睡。朝、目を覚ますと隣には誰いません。居間にも人の気配がありません。
 携帯をチェックしたけど、着信もメールもありません。「んだよ、無断外泊かよ」
 軽くやさぐれんながら携帯をいじっていたら、ちょうど彼氏くんから着信。
 「もしもーし(すっごく機嫌悪そうな声で」
 「おはよ〜、しろくま。起きてる?」
 時刻はちょうど9時になったところ。
 「起きてた。今、どこにいるのよ」
 「事務所だけど?」
 「事務所に泊まったの? なんで帰ってこないのよ、そんなところじゃちゃんと寝られないでしょ」
 「・・・??? 帰ったけど?」
 聞いてみたら、私が布団に入った後に帰宅して、寝て、朝早くに起きて仕事してたんだそうな。
 「う・・・ウソだ! だって帰った形跡がないもん」
 「えー。うーんと、その辺に脱いだ腹巻が転がってない?」
 「腹巻なんてっ・・・あ、あった」
 その後の捜索で、脱いだままになってるスーツとか、机の上に置かれたハンコとか(なぜ)、「事務所にいます」と書かれた置手紙を発見しました。ちょっとびっくりした。こそ泥程度なら起きない自信ができました。