他人の恋の話。後編

 気がつけば一週間も放置してました。お久しぶりでございます。お久しぶりのネタは「他人の恋」の話の後編です。

 【前半あらすじ】
 結婚式を控えたA氏には、心残りにしていることが一つあった。それは、10年前に別れた彼女、B子のことだった。当時まだ若かった二人は、他愛もないことでケンカし、ギスギスしたまま別れてしまった。しかしそれから幾つかの恋を経験したA氏は「恋愛には、ときとして妥協や譲り合いも必要で、努力することが必要なのだ」ということを知り、それをせぬまま別れてしまったB子に対して、10年たった今でも、消化しきれない思いを抱えていた。結婚式が来月にせまり、A氏はとうとう、10年ぶりにB子と会うことを決意し、連絡をとった。

 という話なんですが。
 「明日、彼女と会うんですよ」なんて話をするもんですからね。もうね、ドキドキしましたよ。確実に「食っちゃうんだろうな」とか思ったんですよ。
 しかしね。A氏があっさりと報告してくれたことからも予測できるように、期待してたことは何もなかったみたいです。いやぁもうガッカリですよね(他人事。
 「10年ぶりに会ったんですけどね。彼女、激ヤセしてたんですよ。当時から10キロぐらいヤセたって言ってましたけどね。なんていうかね、自分としては、彼女に会ったらブワーッて感動すると思ってたんですけどね。でも彼女が変わってたんで、思ったほど感動しなかったんですよね〜」
 って。そんな勝手な。
 「それでね。実は自分、来月結婚するんや、それで、何としてでも今月中に会いたかったんや、って話をしたんですよ。彼女びっくりしてました」
 そりゃそうだろ。
 「10年前のこと、謝りたかったんだって話をしてきました。すっきりしました」
 途中から「あれれ?」って思いながら話を聞いてました。
 例えばB子サイドからこれを見たら。「昔つきあってた彼氏から突然の連絡」「しかも、どうしても今月中に会いたいとか言ってる」って言ったらどうでしょう。私だったらあぁ、こいつは死ぬんだなって思う。思わないか。
 ともかく、「どうしても会いたい」って言われて会ってみたら「俺、結婚するんだ」「あのときはごめんな」みたいなことを言われたら・・・「は?」っていう気分なんじゃなかろうか。
 そんな感じで。とにかくA氏の話にはB子さんの描写が一切なかったんで、いろいろ謎なんですけれども、昔話に花を咲かせて、楽しかったみたいです。駅までの帰り道は二人で手をつないで。別れるのが切なくて、電車を1本見送って、話をしたと言ってました。青春だなぁ、青春だなぁ。
 「また忘れた頃に連絡するよ、って言って別れたんですけど、でもきっと、もう会うことはないんでしょうね」
 ちょっと切なくなりましたが、まぁ、めでたしめでたしみたいですよ。