しまった、もうすぐクリスマスじゃないか

 イルミネーションやってるお宅を拝見しに行くのをすっかり忘れていた。やっぱクリスマス終わったら撤去するんだろうな、今日明日にでも行かなきゃダメじゃんか、あぶないあぶない。

ちなみ

 イルミネスト(いま造語した)は作品を際立たせるため、通りに面した部屋の窓から余計な明かりがもれないよう細心の注意を払うそうです。
 通りに面した部屋にはしっかりと遮光カーテン閉めて・・・なんていうのはぬるい、ぬるすぎる! 真のイルミネストはそんなもんじゃないっ!

もしも、あなたが目にしたイルミネーションのお宅の室内の明かりを全て消してあったなら。
その窓の中では四人家族が1本のろうそくを囲んでいます。ろうそくの明かりが外に漏れないようみんなで毛布をかぶり、並んで座っています。庭で流れるオルゴール調のクリスマスソングを邪魔しないよう、会話はヒソヒソ声。テレビをつけるなんてもってのほか、音も光も漏れて全てが台無しになってしまいます。


四人がろうそくの光を見つめていると、外から話し声が聞こえてきました。イルミネーションを見に来たお客さん、どうやら若いカップルのようです。
 「わぁっ、トナカイだ。あ、サンタもいる! たくさんいる!」
抑えながらも興奮気味な女の人の声が聞こえてきました。お父さんの頬がゆるみます。表にあるトナカイのトピアリーはお父さん一年越しの力作なのです。
「あ、二階のベランダにも小さなサンタが!」
ボクのだ! と男の子が思わず叫びかけ、お姉ちゃんに口をつままれました。


しばらくして、カップルたちが静かになりました。
お姉ちゃんが呟きます。「・・・もしかして、キスしてるのかな?」「きききき・・・」慌てて自分で自分の口をふさぐ男の子。「こら」と苦笑するお母さん。


「ねぇねぇ、おかあさんたちも、昔はデートしたりしたんでしょ?」
「さぁどうだったかしら、昔の話だから忘れちゃったわ」
「聞きたいな、教えてよ。いいでしょ?」
「え〜」
おかあさんは助けを求めるようにおとうさんを見ますが、おとうさんは知らん顔。
「仕方ないわねぇ・・・そうね、あの日もこんな風に、雪が降るんじゃないかっていうぐらい寒かった」
お父さんは、毛布の中の家族たちの背中にそっと手をまわし、抱き寄せました。カーテンごしに、赤・青・みどりの光が優しく瞬いています。

 ・・・てな話を二行ぐらい書いたところで「いや、そんなことまでしなくても普通に雨戸閉めればいいのか」って自分でも思ったんですけど気づかないフリをして書ききりました。でも、本気でやってる人は室内の明かりも消して生活してるというウワサは聞いたことあります。雨戸に頼るより雰囲気ありますよね!
 雰囲気はあるけど、想像したらなんだかムカついてきました*1。疲れてるのかな自分。

*1:一晩だけならほほえましいけど、一ヶ月そんな生活を続けてたら流石に鬱陶しい。